話し方改善の本を探していて、目に入った。
そういえば、「アサーティブ」という単語との、最初の出逢いが思い出せない。
そして少し調べたはずが、意味をまったく思い出せない。
ただ、ほんわかとした、やさしい印象だけが残っている。
カバー折り返しには、こうある。
アサーティブとは、相手も自分も「OK」というゴールを目指すコミュニケーションである。
本文には、こうある。
欧米におけるアサーティブの概念は「正直に居心地よく自分の気持ちを表現すること、他者の権利を否定せず尊重しながら自分の権利を使えること」であり、自分も相手も大切にした誠実で対等な人間関係を築くコミュニケーションのあり方です。(p.12)
つまり、
相手の気持ちを損ねないように、自分の気持ちを押し隠して何か言う、とか、
こんなことを言ったらどう思われるか不安だから、自分の気持ちを言わない、とか、
多くの人が選択してしまいがちな言動は「アサーティブ」ではない、ということ。
相手も自分も大切に。
そんなふうに日々会話できたら、どんなに素敵だろう。
危険な会話スタイルとして以下が挙げられている。
- 逃避:幼さをよそおい他人に決めてもらう行動スタイル
- 表面的に服従・裏で反対の行動スタイル
- 言い訳スタイル
- 間接攻撃スタイル
- 嘘の作り話スタイル
具体例を交えて説明されているので、「ああ、自分もついこんな受け答えをしているな」とわかるだろう。
では、どうしたらアサーティブになれるのか。
手順が書かれている。(p.43)
第一ステップ 何が起こっているかを確認する
第二ステップ それに対し自分はどう感じているのかを明確にする
第三ステップ どのような変化を望むのかを考える(どうしたいかを明確にする)
波風立てないように、を、まず……考えない。
どうしたいかを自分の心に問いかける。
「迷うときは本当は嫌なことである、ということも覚えておいた方がいいでしょう。」
という言葉は、ハッとさせられる。
そして、どうしたいかを明確にしてから相手に話す。
その際に必要なこと。
怒りや激しい感情が起こったときには、まず深呼吸して落ち着いてから話すこと、誠実に話すこと。言い訳や自己弁護は不要。
……なるほど。
自分の気持ちを後回しにすることに慣れている人間が、いきなり自己主張しようとすると、
「どうしても仕方なかったんだよ!!!」と自己弁護してしまう気持ちは、わかる。
相手にしてみれば、何も責めていないのに、「???」という感じだろう。
ただ、ありのままに。
……まぁ、それが難しいわけだが。
「アサーティブになるために知っておきたい心の罠」も紹介されている。
- 次に問題が起こるまでの先延ばし傾向
- 自分で言わずに人に言ってもらう依存癖
- いい人でないと不安という癖
こうした傾向や癖があると、なかなかアサーティブになれない、という。
特に3つ目にひっかかっている人が多い気がする。
例題も豊富に載っている。
あるシチュエーションが書かれていて、どう答えたらいいか考える課題。
例えば。
マンション自宅の玄関前に、近所の子どもがゴミをポイ捨てするのを目撃してしまった。
自分が捨てておけばいい、と思って注意をしなかったら、その後も何度もゴミが落ちている。
でも、子どもの姿を見ないので、その子かどうかわからないから注意するきっかけもない。
ちょっとしたことだけれど、毎回毎回、モヤモヤする。
先延ばしにしてしまったことで、こんなふうに問題が大きくなってしまいました、
どうしたらよかったんでしょうか、という問いかけと、
こうしたほうがよかったですよね、という対応例が書かれている。
いずれも具体的かつ身近な事例なので、読むだけでも自分の状況を客観視できるかもしれない。
そして1つでも実際に言ってみることから、人生はきっと変わっていく。
『誰でもできる!アサーティブ・トレーニングガイドブック : みんなが笑顔になるために』
海原 純子 (著)、金剛出版(2019/8/13)