『自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く~』

IQテストという単一のものさしでは測れない、複数の知能が人間には備わっている。
その8つの能力の強弱が知能個性であり、使っていないように思える能力もゼロということはない。

この考え方を「多重知能理論」という。
1983年にアメリカの心理学者ハワード・ガードナー博士によって提唱された。

著者の先の本『本当はすごい“自分”に気づく 女子大生に超人気の美術の授業』で紹介されたこの理論について、
より詳しく知りたい、という要望を受け、著したのがこの本だという。

現代社会で求められる頭のよさについての説明において、
ブックスマート、ストリートスマート、という表現が登場する。(p.29)
簡単に言えば、ブックスマートは学問や書物から得た知識が豊富な人。
ストリートスマートは、自身の体験から多くの知恵をつける、外の世界から学びを得る人。

言われてみれば確かに、知識の獲得方法について、得手不得手がある。
また、ものによっても、書物と体験のどちらのほうがわかりやすいか、違いがある。
つまり、どちらのほうが優位だということはない。
しかし、こうして様々な方向があるのだという意識を持つことで、考え方が変わるだろう。

多重知能理論も、ぜひ実際に、ご自分の知能について評価シートに記入してみていただきたい。
8つの能力は、以下の通り。

論理・数学的知能
言語的知能
音楽的知能
空間的知能
博物的知能
身体・運動的知能
対人的知能
内省的知能

これらを4段階評価し、レーダーチャートにプロットする。
詳しくは、第3章を読んで8つの知能を理解して実施すると良い。

なお、どのような職業にどの知能が大きく関わっているか、という一覧も登場するが、
「職業の適正などを測る自己分析ではなく、
自分が今持っている強い知能を知り、それを生かし、
どうすれば自分の理想とする姿に近づくかを考え導く」とある。(p.65)

例えば、元ボクサーが医者になることを目指すとしたら、それまでの身体能力は無関係だと考えがちだが、
多重知能理論で考えると、ボクサー時代の身体能力を十分生かすことができるという。

理論だけでなく、具体的な知能のバランスと職業の関係や、
仕事に就いてからの経験や知識によって8つの知能のバランスがどのように変化するか、
といったモデルが豊富に紹介されている。

読んでいるだけでも、様々な可能性にわくわくする一冊。

 

自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く~
有賀 三夏 (著) 、ヤマハミュージックメディア (2018/8/26)

■目次
第1章 頭がいいとはどういうこと?
第2章 多重知能理論
第3章 8つの知能
第4章 多重知能研究の歴史
第5章 多重知能理論の活用法

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