『親と子の「伝える技術」』

一瞬で大切なことを伝える技術』が5万部を超える大ヒット!
そんな著者による、親子のための「伝える技術」の本。

 

目次は以下の通り。

プロローグ 伝わらないのはなぜ?
第1章 脱ワンワード週間〈文章で話す〉
第2章 1分スピーチ合戦〈ちゃんと話す・ちゃんと聴く〉
第3章 ダイジルールでほめる〈相手のダイジなことでほめる〉
第4章 子どもになにを「伝える」のか
おわりに

 

プロローグでまず、いくつかのポイントが挙げられている。

まず、1つ目。
「もっと勉強しなさい」では、曖昧で伝わらない。

「もっと」とは?
「どう」勉強したらいいの?

5W1Hをハッキリさせて会話する。
これだけで、子どもに伝わりやすくなる。

次に、2つ目。
コミュニケーションは、「伝える」ものだと思いがちだが、
「双方向の対話」でないと、ものごとは伝わらない、と筆者は指摘する。

よって、いかに相手の「言葉をうまく引き出してあげる」か、が大切となる。

そのためには、まず、聴こう。

「宿題しなさい!」
「今日はないよ…」
なんていう、不毛なやりとりをしないために。(p.18)

最後に、3つ目。
子どもは、親に対して「いつもなんであんなに怒っているんだろう?」と思っていて、
親が「イライラしていないとき」「忙しく働いていないとき」
などだけ話しかけている、という調査結果を紹介。

イライラしている人とコミュニケーションを取りたい人間はいない。

つまり、上手に伝えるためには、まずは上手に「ほめる」ことが大切。

他に「任せる」などの説明もあるが、
この3つのポイントを習慣化するエクササイズを、
以下の3つの章で紹介している。

 

第1章の「脱ワンワード」とは、「文章で話す」、
つまり、5W1Hをハッキリさせて会話する、ということ。

親の努力ポイントは2つ。(p.30)
1)親自身がワンワードにならないこと
2)子どもから「くつ!」と言われたら、「お母さんは靴ではありません」と言い返すこと。

脱ワンワード週間(習慣)の進め方について、
詳細は本書をお読みいただきたいが、
最初に「わが家のNGワード」を決めるというのは良いと思った。

「ムリ」「ウザイ」「さいあく」などの口癖をNGワードにする。
「これから1週間、NGワードを使いません」
「ちゃんと文章で話します」
そう親子で宣言して、毎日、夜に反省会。
「できた!」シールを貼る。

この、「脱ワンワード週間」のワークシートおよびアンケートは、巻末に例が掲載されている。
(小学2年生以下用、3年生以上用、上級生用、保護者向け資料、保護者向けアンケート)

実際に「脱ワンワード週間」に取り組んだ小学校のアンケート結果も紹介。
不思議なことに、
「気持ちがちゃんと伝わる」「きれいなことばのほうが、体があたたまる」といったことだけでなく、
「いもうととけんかがへりました」「部屋がきれいになる」といった行動変化まで起こる。

 

筆者が「脱ワンワード週間」を考え出すきっかけとなった資料が紹介されている。
『めざせ!ベストサポーター』という冊子だ。

日本サッカーを世界一にするために、日本選手に足りないのが、
「判断力」と「コミュニケーション力」ということで、
JFA(日本サッカー協会)がサッカークラブに所属する子どもの保護者向けに発行している冊子。

保護者へ求めている内容は、大きく2つ。

「子どもに口出しすぎるな」
「子どもからちゃんと言葉や考えを引き出そう」

冊子の前半、子どもたちの自立に向けた言葉が並ぶ。

そして後半、
つくば言語技術教育研究所所長、三森ゆかりさんによる解説。

三森さんは、
「子どもの考える力を伸ばすためには、保護者は『察しの悪い振り』をしましょう」という。
「くつ!」だけで親が察しない、言い直しを求める、ということだ。

また、
「『何となく』『ビミョー』を許さない」という。
こうした子どもの何気ない返答はコミュニケーションと思考の放棄なのだ、
だからそれを許してはいけないのだ、という。
ここから筆者は「NGワード」の設定を発想したのだろう。

冊子『めざせ!ベストサポーター』、以下からpdfファイルがダウンロードできます。
https://www.jfa.jp/…/players_fi…/pdf/best_supporter_book.pdf

JFA(日本サッカー協会)による様々な冊子と解説
https://www.jfa.jp/youth_development/players_first/

 

第2章の「1分スピーチ合戦」は、
5W1Hの1文を話せるようになった、次の段階。

まずは準備。
1分間、なにを話すか黙って考える。

そして、スピーチ。
タイマーで時間を計って、1分間、話す。
プラスマイナス5秒以内であれば拍手。

そして質疑応答。
聴いていたほうは、1つだけ質問する。
1つだけです。再質問は、なし。

交代して、同じことをする。

この「1分間スピーチ合戦」の最終目標は、2つ。

1)構造的に考え・伝える力をつける
2)ちゃんと聴いて質問する姿勢をつける

そのためのコツも紹介されている。(p.72)

なんと、東大の大学院生であっても、
ちゃんと聴いて質問するのは難しい、という実践結果も紹介されている。(pp.82-85)

 

第3章の「ダイジルール」は、
「脱ワンワード週間」と「1分スピーチ合戦」といった努力が続いていくためのもの。

日本の子どもたちで、自分が好きなのは、18%足らずという、
よく見かける調査結果がまず紹介されている。

ただ「すごい!」ではない褒め方。

「親が変わる」の3ポイントは、よくよく読み込んでおきたい。(pp.120-125)
1)子どものダイジなことを理解する
2)感情豊かに。でも感情的にならない
3)親自身が楽しむ

 

第4章は、子どもになにを「伝える」のか?
改めて親に問いかけている。
ここも、よくよく読み込んでおきたいところ。

最後に、筆者の長女によるコラムがある。
このように育てられた子ども側からの感想が興味深い。

 

親と子の「伝える技術」
三谷 宏治 (著) 、実務教育出版 (2013/5/14)

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