『あれこれ考えすぎて“動けない人”のための問題解決術』

問題解決の本を読みあさる中で出逢った本。
しかし、中身はいわゆる「問題解決の流れ」や、PDCAサイクルなどではなかった。

「第1章 あなたが動けないのは「不安」があるから」として、
あれこれ考え続けてしまう会社員が上司に「さっさとやれ」と言われ、
思い悩みつつも行動してもなお、不安がつきまとう、といった短い物語が、
あるあるネタとして連ねられている。

サボっているわけではない。
むしろ一生懸命、丁寧に仕事をしようとしている。
けれど自分で自分にブレーキをかけてしまう。

「うまくいくだろうか?」
「このままやって大丈夫だろうか?」
「自分がやっていることで人に迷惑がかからないだろうか?」(p.32)

次々とわきあがる不安。

「失敗しないだろうか?」という不安は、
「自分には成功させる能力がない」という「思い込み」から来るのだと指摘する。(p.38)

「ただの思い込みならこんなに苦しい思いはしないよ…!」
という方もいるかもしれない。
それは私の紹介の仕方がマズイのであって、
この本は、もっと静かに、そっと、あなたの不安に寄り添うように語りかける。

そして、第4章、第5章で、具体的な対策とその実践例が、またゆっくりと綴られ、
「もしかしたら自分も変わることができるのかもしれない…」
という、静かな期待感に満ちた気持ちにさせてくれる。

おそらく、根深い不安がある方は、一度読んだだけでは納得いかないだろう。
何度もくりかえし読むことで、少しずつ、「そうかもしれない」と思えるのではないだろうか。

不安が「思い込み」なら、自信もまた「思い込み」だ。
一度うまくいったからといって次もうまくいくとは限らないのに、
一度の成功を自信として突き進んでいく人がいるように。

どちらの「思い込み」で生きたいか?

今のままでいい、という人は、読まなくていい。
でも、もし、
変わることができたら…と思うのなら、一読、いや、熟読をおすすめする。

 

問題解決の本というより、
アダルト・チルドレンや、インナーチャイルドといった、
心理療法系の本として分類できると思われる。
これらの言葉は登場しないが、「インナーメッセージ」という言葉は登場する。
正面きって心理療法の用語が出てこないところも、
この本を手に取りやすくしているだろう。

 

あれこれ考えすぎて“動けない人”のための問題解決術
倉成央 (著) 、大和出版 (2014/8/9)

 

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